露出小説お姉ちゃんのキッス 作;ベンジー 第七章 抱いてって言えないの 1 悠人が目を覚ましたのは、由衣のベッドだった。 これで二日目だ。 由衣の体温を背中に感じた。由衣は、後ろから首の上下に手を回し、悠人を抱き締めるような形で、寝息を立てている。 肌の温もりが、心地良かった。 白く、細い指先が、悠人の目を惹きつける。 (こんなになっちゃって……) 由衣の手首には、ロープの痕が残っていた。 やり過ぎたのかもしれない。 由衣が身動きできないのを良いことに、悠人は自分の欲望を果たした。最初から、そのつもりで縛ったわけではない。由衣は「ダメよ」と言い続けた。 それでも、抑えが利かなかった。 ロープをいつほどいたのかも、覚えていない。前日のように、由衣を縛ったまま放置することは、なかったようだが。 ロープの食い込んだ痕が痛々しい。悠人は、指先で撫でてみた。 「痛かったのかな」 思わず、声に出していた。 「いけない子ね。お姉ちゃんをひどい目に遭わせて」 由衣が目を覚ました。 「ゴメンよ、お姉ちゃん。こんなになるなんて……」 悠人が振り向こうとするのを、由衣が後ろから押さえた。夕べは、由衣を縛ったまま、処女まで奪ってしまったのだ。怒っていたとしても無理はない。 「悠人は悪い子ね」 「だから……」 謝っているのにと、言おうとしたのだが、 「いいの。お姉ちゃんは、悠人のモノになったんだものね」 由衣が、素肌を、より強く押し付けて来た。 おっぱいの膨らみを背中に感じ、おちんちんが、ムクムクと大きくなる。 ――お姉ちゃんは、悠人のモノになった そんなふうに思っていてくれたなんて。 お姉ちゃんはボクのモノ。 何してもいいんだ。ロープで縛っても、フェラチオをさせても、エッチをしても、お姉ちゃんは何でも許してくれるんだ。 「お姉ちゃん、ボク、もう一度したい」 悠人は、上体を起こそうとしたが、由衣は手を離さなかった。 「今はダメ。もう少し、こうしていようね」 「なんでだよ。お姉ちゃんはボクのモノなんだろう」 悠人のおちんちんはギンギンに張り詰め、抑えが利かなくなりそうだった。 「そうなんだけど……」 意味ありげな言い方に、悠人は戸惑う。 「どうかしたの?」 「うん……」と由衣は口ごもる。悠人のうなじに、おでこを押し付けたみたいだ。 「お姉ちゃん、初めてだったんだよ。まだ、痛くて……ゴメンね」 悠人は思い出した。 鮮血で赤く染まったシーツ。悠人は、自分の行為に、罪悪感を覚えた。 由衣は、悠人を抱き締めている。 二人ともハダカのまま、布団の中で身体を合わせている。 これ以上を望むのは、贅沢というものだ。悠人は、そう思い直し、もうしばらく抱かれたままでいることにした。 2 夕べは、ロストバージンの感傷に浸る間もなかった。 ロープをほどいて貰った由衣。 尚も、抱きつこうとする悠人。 由衣の中で、激しく射精したはずのおちんちんだが、回復に時間は掛からなかった。 「ダメよ。今日は、もうおしまい」 由衣は、掛け布団を胸まで引っ張り、姉の顔を繕って見せた。 「一緒に寝てくれないの?」 寂しそうな顔。由衣は、いつになっても、この顔に勝てない。 「こっちにいらっしゃい。でも、お姉ちゃんに何もしちゃダメよ。何かしたら、もう絶対に寝てあげないんだから」 すでに、どれほどの説得力があったかわからない。 「うん」と飛び込んで来た悠人に、背中を向けて寝るように告げる。 目の前に、ハダカの背中が広がった。 (こんなに大きくなったんだ) 二人して掛け布団に潜ると、由衣は、縋りつくように身体を寄せた。悠人の背中が反応する。姉弟がハダカで同じベッドに寝るだけでも、異様な光景だった。 「お姉ちゃん……」 何か言おうとする悠人を、由衣は制した。 「もうお休みなさい。また、明日ね」 また明日……悠人と、こうして寝るのかしら。思わず口に出してしまった言葉に、由衣の胸が騒いだ。 「こんな状態じゃ寝られないよ」などと文句を言っていた悠人だが、寝息を立てるまで五分とかからなかった。 (こんなところは、昔のままね) 由衣は、悠人の頭を撫でながら、眠りに付いた。 目が覚めたのは、悠人のほうが、少しだけ早かったようだ。 由衣の手首に触れていた。 ロープの痕を気にしているのだろう。由衣は、恨み言を口にしてみた。悠人の慌てる様子が面白かった。 起きあがろうとする悠人を、由衣は両手で抱き止めた。 悠人の顔を見るのが怖かった。 最後の一線を越えてしまった由衣と悠人。 下腹部でジワジワと疼く痛みが、夕べの出来事を突き付けていた。 ロストバージンの翌朝、本当なら、嬉し恥ずかしのひとときを過ごしている頃なのだろう。由衣は、弟と関係を持ってしまった罪悪感を拭いきれない。 かわいかった悠人。 「お姉ちゃん」と呼ばれる度に、何でもしてあげたくなる、たった一人の弟。 (私を縛ったりする子じゃなかったのに……) 由衣は、悠人の背中に、頬を当てた。 一緒に入ったお風呂では、悠人の射精を太ももで受けた。 口の中に出されたザーメンは、飲み干した。 夕べは、とうとう、女の子の一番奥深くにも放たれてしまった。 (全部、悠人のモノになっちゃったんだ) 自分の身体でありながら、自分のモノではない。由衣自身が、悠人の持ち物。私は、悠人の所有物。 「家の中では、ずっとハダカだよ」なんて言われたら、そうするしかないのかしら。 嬉しいような、切ないような、それでいてオブラートに包まれたようなモヤッとした感覚。もどかしいけど、正体が掴めない。 悠人は、起きる前にエッチがしたいと言った。 破瓜の痛みが残っているからと断ったものの、本当は、それほどでもなかった。ちゃんと愛撫して貰えば、できないこともないだろう。 断った理由は、他にあった。 由衣の中で、夕べの出来事をセックスと認められない気持ちが残っていた。 (私は縛られていて、抵抗ができなかったの) 事実、由衣は最後まで性交を拒んだ。 でも、悠人は止まらなかった。あれは男女のセックスではない。悠人が一方的に、由衣を自分のモノにしただけ。 由衣は、姉として、弟の欲望を満たしてやっただけ…… 熱くなった目頭を指先で押さえ、由衣は、諭すように、悠人に告げた。 「ゴメンね」 ウソを吐いた由衣。 今ここで悠人とセックスをしてしまったら、それは男女の営みと同じになってしまう。由衣と悠人は、姉弟ではなくなってしまう。 それが、由衣には許せなかった。 (ゴメンね、悠人) 由衣は、悠人の背中に抱きついたまま、心の中で手を合わせた。 3 「めでたくお姉ちゃんと結ばれたというわけだ」 いつもの体育館裏で、一輝が喜んでいた。嬉しいのは間違いないが、悠人にしてみれば「結ばれた」という表現には抵抗があった。 無理やりしてしまったという部分は、否定できない。 「でも、最後は"やさしくして"って、言ってくれたんだろう」 悠人の顔が熱く火照った。どうしてここまで話してしまうのか、悠人には全くわからない。一輝と話をしている内に、いつの間にか聞き出されてしまうのだ。 「そうだよ。でも、あれだって……」 きっと由衣のやさしさなのだ。 処女膜に恐れをなしている悠人を見て、由衣が励ましてくれただけだ。今になってみれば、悠人にも、それがよくわかった。 「由衣さんのアソコ、熱くなっていたんだろう。悠人を欲しがっていた証拠じゃないか」 「そうだけど……」 悠人にも、それは意外だった。 由衣が感じてくれなければ、挿入にもっと苦労していたはずなのだ。悠人がおちんちんを押し付ける前から、由衣の秘苑は潤っていた。 大股開きで恥ずかしい思いをすると、女の子は誰でもああなるのだと思っていた。 「お前のを入れられて、由衣さん、イッたんだよなあ」 一輝が「自信を持てよ」と、悠人の顔を覗き込む。 悠人は、耐えきれずに俯いた。手足の自由を奪い、姉のやさしさに励まされて、ようやく本懐を遂げたのだ。自信なんて持てるわけがない。 「今夜も、エッチさせてくれるかなあ」 悠人にとっては、それが一番の気がかりだった。一輝の前で言葉にするつもりではなかったのだが、つい口から出てしまった。 「そりゃあもうばっちりだよ。女なんて、一回やってしまえば、こっちのもんだ」 「そうかなあ……って、おい、一輝は経験あるのかよ」 悠人は、顔を上げて一輝を見た。 「う、うん。まあ、一般論だけどな」 一輝には珍しく、少し焦っているように見えた。 性体験の低年齢化は、週刊誌等で取り沙汰されているが、悠人も一輝も中学生になったばかりだ。いくらなんでも、早いほうには違いないだろう。 悠人は「なんだ」と肩を落とした。 「ヤラしてくれなきゃ、また、縛っちゃえばいいじゃないか」 一輝は簡単に言うが、警戒されているとしたら、縛らせても貰えないだろう。お風呂くらいは入ってくれても、一緒に寝るのは、ダメかもしれない。 「難しいかも……」 悠人は弱気になっていた。 朝、由衣から「ゴメンね」と言われたことが、今になって気になっていた。「もう、これっきりにして」という意味かもしれない。 「そんなことはないと思うぞ。由衣さんは縛られたままでイッたんだよなあ。それって、もしかして……」 一輝が意味ありげに、腕を組んだ。 「なんだよ」 「由衣さんは、Mかも」 悠人は、息を詰まらせた。ネットで見た女性たちの姿が目に浮かぶ。全裸の身を荒縄で縛られ、手足の自由を奪われていた。恥ずかしい部位が丸出しだった。 そういう目に遭って喜ぶ女性がいることは知っていた。 被虐願望とか、マゾ女とか表現されていた女性たちを、由衣と結び付けて考えることはできない。そんなバカなと思う一方で、夕べの由衣を思い出す。 あの喘ぎ声。ロストバージンだったと言うのに、由衣は縛られただけで、匂い立つほどに花芯を濡らしていた。 「お姉ちゃんが……M?」 どんなに見つめても、一輝の瞳に答が書いているわけではなかった。 「まあ、今夜にはわかるさ」 一輝にとっては他人事なのだ。 興味本位で、悠人たち姉弟の痴態を覗いているに過ぎない。自分のことでなければ、こんなに面白いネタはないだろう。 悠人は、一輝を睨み付けたが、気にもしていない様子だった。 「写真も撮ったんだろう。見せてくれよ」 一輝が言うのは、由衣をM字開脚縛りにした時の写真だ。デジカメには、女の子の部分がはっきりと写っていた。 「そんなのダメだよ。決まってるじゃないか」 「相変わらずケチだなあ。黙っていれば、わからないじゃないか」 「そういう問題じゃないって」 悠人は、あくまでも抵抗した。 この前も、一輝は「由衣さんを縛らせて欲しい」と、悠人を困らせた。悠人と一輝では立場が違う。悠人は、また、胸が痛んだ。 4 移動教室に向かう途中の廊下で、由衣は立ち止まった。瑞穂から、思いも寄らない質問を受けたのだ。 「由衣、もしかして……初体験、しちゃった?」 ちょうど周りに人がいなくなった時だった。由衣は、心臓が止まりそうになった。声を上げなかっただけ、ラッキーだったかもしれない。 「えっ、なんで。そ、そんなこと……ないよ」 瑞穂に、二の腕を掴まれた。 「ウソよ。だって、朝から歩き方がおかしいもの。がに股になっているわよ。まだ、アソコが痛い証拠じゃない?」 声を潜めていたが、瑞穂の言葉には逆らいがたいものを感じた。 股間の奥に痛みの欠片が残っていた。でもそれは、由衣が過剰に意識しているからだと思っていた。まさか、歩き方がおかしくなっていたとは…… 「みんなには、内緒ね」 由衣は、顔の前で手を合わせた。 瑞穂に知られてしまっただけでも、こんなに恥ずかしいのだ。クラスの噂にでもなったら、学校に来るのが地獄になってしまう。 ふっ、と息を吐く瑞穂。 「由衣って、ホント、わかりやすいわ」 「……、えっ?」 瑞穂が、意味ありげに笑っていた。 「大丈夫よ。由衣の歩き方は、いつもと変わらないわ」 由衣は、カマを掛けられたのだ。頬が沸騰するヤカンのように熱くなる。どこかに隠れてしまいたかった。 「あーん、もう。瑞穂のバカっ」 「ゴメン、ゴメン。で、相手は誰なのよ。クラスの子?」 由衣もやるものねと、瑞穂が、興味津々のまなざしを向けてくる。相手がクラスの男の子だったら、むしろ、救われていたのかもしれない。 「それが……ちょっと……」 由衣には、どう返事したら良いか、わからなかった。 瑞穂が、由衣を見つめた。由衣は、耐えきれずに俯く。上目遣いでのぞき見る、瑞穂の視線が痛かった。 「ふーん、やっぱり悠人君なんだあ」 由衣は、この日、二度目の心停止に陥った。 (なんで……?) それ以上の思考はストップしていた。ヌード撮影やフェラチオはしても、最後の一線だけは守っているに違いない。瑞穂は、そう考えているはずだった。 まさか、初体験の相手が実の弟なんて発想は、思いも寄らないはずだった。 由衣の思いこみだったのか。 瑞穂が、いつの間にか、マジメな顔つきに変わっていた。 「ねえ、悠人君を愛しているの?」 トドメを刺すような問いに、由衣の大脳はオーバーヒートしそうだった。 後から、クラスメイトの一行がやって来た。 由衣は、瑞穂に引きずられるように、移動教室へと歩き出す。返事をしないままで、良かったのか、悪かったのか。 (悠人を愛している……?) 考えてもいないことだった。 確かに愛しているかもしれない。でもそれは弟としてだ。決して一人の男の子としてではない。瑞穂にだって、わかっているはずなのに。 「後で、はっきりさせなさいよ」 瑞穂が、歩きながら耳打ちした。どうあっても答を聞き出したいらしい。次の授業が始まっても、何も頭には入らなかった。 幼い頃から「お姉ちゃんが大好き」と言って、追いかけて来た悠人。その「好き」であれば、由衣も声を大にして言える。 瑞穂が望んでいる答ではないだろうが。 由衣は、ふと、首を横に向けた。隣の席に座った瑞穂が、由衣を見ていた。 何も語らない口の代わりに、目で語りかけているようだった。 (悠人君は、どうなのかしらね?) 由衣は、胸を押さえた。鼓動が、一際、大きくなった。 悠人は、由衣をどう思っているのか。 二人は姉弟なのだ。相手がどう思っているかなんて、考えたことはなかった。瑞穂の発した一言で、おかしな感情に振り回されている。 これでは、まるで片想いの少女だ。 由衣は、あくまでも姉として、悠人の好奇心や性教育にも協力して来た。決して恋愛感情から生まれたセックスではない。 悠人の喜ぶ顔、泣きべそをかく顔が、次々に目に浮かぶ。 今朝も悠人は「もう一度、したい」と言って来た。家に帰れば、また、由衣を求めて来るだろう。 一度だけなら、過ちで済む。でも、二度目を受け入れてしまったら…… 悠人は、もう、止まらないかもしれない。力だって、由衣よりずっと強くなった。強引に迫られたら、由衣は恐らく拒みきれない。 由衣は、頭を小刻みに振った。 姉弟で関係を持つのは罪悪だ。こんなことを続けていたらバチが当たる。もう二度と受け入れてはならないと思うのだが、悠人を説得する自信はなかった。 悠人は、由衣を縛ってでも、肉欲を満たそうとするだろう。 そう、縛ってでも…… 由衣の股間が疼いた。痛みの欠片からではない。もっと甘い痺れのような疼きだ。 手を伸ばしそうになるのを、必死で堪えた。疼きは全身に広がり、身体が内側から熱く火照る。乳首の先にも、もどかしさが集まる。 (授業中なのに、オナニーしたがってる) 由衣は、気がおかしくなりそうだ。 今でさえ、こんな状態なのだ。悠人が目の前にいたら、誰も邪魔も入らなかったら、由衣は自分を保ち続けることができるだろうか。 由衣は自信がなかった。 いっそのこと、夕べのように縛られてしまえば、由衣は自分を納得させることができるかもしれない。抵抗できなかったのだから仕方がないと。 熱を帯びた由衣の身体は、授業が終わり、瑞穂に肩を叩かれるまで冷めなかった。 5 学校から帰った悠人は、由衣のことばかり考えていた。 今日はエッチさせてくれるのだろうか。お風呂に入ってくれるのだろうか。ロープを捨ててしまったのではないか。部屋に鍵を掛けて、入れてくれないのではないか。 あまり前向きな考えは、浮かんでこない。「ゴメンね」と言った由衣の声が、耳たぶの近くで騒いでいた。 帰って来てから、由衣が話したことと言えば「ご飯よ」の一言だけ。 何となく、避けられているようにも思えた。 夕べ、縛られて身動きができない由衣を、強引に犯してしまったからだろうか。 由衣は、夕食の後かたづけが終わると、 「お姉ちゃん、宿題、やっちゃうね」と言って、自分の部屋に戻ってしまった。 二言目を喜んでいる場合ではない。 リビングで一人になった悠人は、ますますマイナス思考に落ちていく。まだ、お風呂にも入っていないのだ。 悠人は何も手に付かなくなり、ソファーに身体を投げた。 夕べの出来事がウソのようだ。 全裸のまま、大股開きに縛り上げられた由衣。女の子の羞恥の源泉を、目の前にするのは初めてだった。それも、あんなにはっきりとした形で。 ネットで見た無修正画像のように、卑猥なものではない。 淡い桜色をした花びらは、いかにも慎ましく咲いていた。蛍光灯の明かりを照らされて、恥ずかしげに開いていた。 鬱な気分とは裏腹に、悠人のおちんちんは、きかん坊にだった。 由衣の姿を思い出してしまったのだから、どうにもならない。刺激を求めて、悠人のパジャマを突き上げた。 (今夜は、このまま、寝るのかなあ) 悠人は、パンツの中に手を入れた。おちんちんが、痛いほどに堅くなっていた。 脳裏に浮かぶ由衣のM字開脚縛り。 夕べ撮った写真は、まだ、デジカメの中だ。実物は諦めるしかなさそうだし、パソコンに落として、オナニーのおかずにするしかないのか。 悠人が、おちんちんを握り直した時、背後で由衣の声がした。 「お風呂、入ろうか」 いつの間に下りて来たのだろう。自分の部屋にいたはずの由衣が、リビングの入り口で悠人を呼んでいた。 (今、なんて……) 悠人は、声のするほうに向き直ったものの、両手はパンツの中だった。 「先に行ってるわよ」 由衣が、背中を見せた。悠人は、急いで後を追う。 (やっぱりそうだ。お姉ちゃんが、お風呂に入ってくれるんだ) 悠人の気持ちが一気に高揚していく。今まで落ち込んでいたのが、バカみたいに思えた。 脱衣カゴの前で追いつくと、由衣は、まだ、パジャマを脱いでいるところだった。 悠人は、脱衣シーンに見惚れていた。 「恥ずかしいから、脱ぐとこ、見ないで」 由衣が、袖を抜いたばかりのパジャマで、おっぱいを隠した。 「えっ、う、うん。ゴメン」 悠人は、後に下がって背を向ける。お風呂に入るのだから、ずっと隠してなんかいられないのにと、由衣の仕草がおかしかった。 すぐ近くで、衣擦れの音が聞こえていた。 (お姉ちゃんが、パンツを脱いでる) 悠人のきかん坊は、さらに凶暴な形に変貌していた。 浴室のドアを開く音に続き、「いいわよ」の声が聞こえた。 悠人は、脱衣室に入る。曇りガラスの向こうに、シャワーを浴びるシルエットが見えていた。肌色の陰が、妙に艶めかしい。 急いでハダカになると、悠人は浴室のドアを開けた。 由衣の裸身が飛び込んで来た。シャワーを浴びる由衣の手が、少しだけ止まったように見えたが、気のせいかもしれない。 湯煙の中で、白い背中を紅潮させていた。 何度も見ている由衣のヌードだが、悠人は、華奢な後ろ姿に見入ってしまった。こんなにも細かったのかと、今さらながらに思う。 ウエストラインの細さに加え、引き締まった臀部は、キュッと上を向いていた。太ももを擦り合わせる仕草に、由衣の恥じらいを見せていた。 後ろから抱き締めたい。 悠人は、衝動に駆られたが、由衣は決して許さないだろう。夕べはセックスまでしてしまった二人でも、由衣の身体には、殆ど触れていなかった。 由衣は、シャワーヘッドを胸に抱き、首だけ捻って悠人に向けた。 「ここに座って」 いつものようにイスを置くと、バスマットに膝を付く。 悠人は、イスに腰を下ろした。 肩に掛かるシャワーのお湯は温かかった。ボディソープを付けた由衣の掌は気持ち良かった。悠人のおちんちんは、期待をいっぱいに詰めていた。 淡々と、手を動かす由衣。 身体を洗い終えると、悠人に正面を向かせ、おちんちんを掌に包んだ。洗うだけなら、もっとあっさりとしていて良かったはずだ。 由衣は、球袋の重さを計るように両手に載せ、小鳥を撫でるように愛おしんだ。 それだけで射精してしまうそうになる。さらに由衣は、竿の部分を両手で交互に撫でる。繰り返し何度も擦る内に、泡が生クリームのように細かくなっていく。 「うっぐぐぐっう」 悠人は、もう少しで出してしまうところだった。 「出しちゃってもいいのよ」 由衣にも、伝わっていたようだ。 でも、ここで出してしまうわけにはいかない。悠人は、必至に堪えた。こんなにも丁寧に、おちんちんを洗ってくれるなんて。 悠人は、少しずつ、気持ちが大きくなっていくような気がした。 ――由衣さんはMかもしれない 一輝が学校で言っていたことを思い出した。由衣は、姉として悠人の世話をしているのではなく、世話をさせられるのが好きなのか。 おちんちんも洗ってくれるし、フェラチオだってしてくれる。 一輝の言うとおり、夕べのようにレイプまがいのセックスをするのも、案外、好きなのかもしれないと、思い始めていた。 力ずくで押し倒したら、どうするだろう。 思ってはみたが、悠人にそこまでの勇気はなかった。身体を流して貰った後、いつものように肩を並べて湯船に浸かった。 (これくらい、いいよね) 悠人は、お湯の中で、こっそりと手を伸ばした。目標は、由衣のおっぱいだ。前に一度怒られてから、湯船の中で触ろうとはしなかった。 今ならいけると、一人で決めつけていた。 「いゃあああーー」 指先がおっぱいに触れた途端、由衣の全身が強張った。まるで痴漢にでも遭ったかのように、背中を向け、身体を丸めた。 目には、涙を浮かべていた。 予想外の反応に、悠人はどうしたら良いか、わからない。 「もう、バカっ!」 由衣は、怒っていた。 「ゴメンよ、お姉ちゃん。そんなに怒るなんて思わなかったんだ」 悠人は、調子に乗っていたと後悔した。クラスメイトの胸に触ったのなら、どんなに罵られても仕方がない。 由衣なら、もう、許してくれると思っていた。 「お姉ちゃんにイタズラするなら、もう一緒に入ってあげないからね」 由衣は、まだ、涙目だった。 そんなに悪いことをしたのだろうか。初めて触ったわけでもないのに。悠人は、苛立ちにも似た感情を覚えた。 「だ、だって、夕べは、洗わせてくれたじゃないか」 ボディソープを付けた手で、おっぱいを洗った時の感触を、悠人は今も覚えている。真っ白く柔らかな乳肉に、指先が、どこまでもめり込んで行きそうだった。 「あの時は、縛られていたから……」 由衣が、消え入りそうな声で言った。 悠人には、ショックな回答だった。由衣は、悠人におっぱいを触られるのがイヤなのだ。夕べは、ただ抵抗できなかっただけ…… 「お姉ちゃんは、ボクと仲良くしたくないの?」 何も考えずに、口から出た言葉だった。 由衣が振り向く。両手は胸を押さえたままだ。 「そんなことないよ。お姉ちゃんだって、悠人のこと、大好きだし……」 悠人は耳を峙てた。 「ホントに? ボクのこと、ホントに大好き?」 「もちろんよ。私のかわいい弟だもの」 由衣の目も口も、微笑みでいっぱいだった。悠人は「わーい」と抱きつく。由衣の首に手を回し、頬を擦りつけた。 大好きと言われたことが、こんなに嬉しいなんて。 「ボクもお姉ちゃんが大好き!」 悠人は、お風呂の中で、はしゃぎ続けた。 6 由衣は、宿題を済ませた後も、なかなか部屋から出られなかった。 リビングに降りて行けば、悠人が、また迫って来るだろう。今日は、何をさせて欲しいと言われるのかしら。 M字開脚縛り…… あんなに恥ずかしい思いは、もう二度としたくなかった。 ――お姉ちゃん、ボク、もう一度したい 耳に残る悠人の声。ストレートに気持ちをぶつけられたら、由衣は冷静に対応できるだろうか。 今夜もまた、悠人のおちんちんを、由衣の女の子に受け入れてしまったら…… 由衣は、悠人のやさしいお姉ちゃんでいたかった。 一緒にお風呂に入ってやって、おちんちんを洗ってやって、たまにフェラチオしてやったら、悠人も満足してくれるのではないか。 夕べの出来事は、例外にしたかった。 そう決意して部屋を出た。リビングで悠人をお風呂に誘った。 悠人は男の子だ。いつ暴走するかわからない。悠人と肩を並べてお湯に浸かりながらも、由衣は、自分がしっかりしなければと、思いを固めていたところだった。 悠人が、由衣のおっぱいに触った。 悲鳴は、決してオーバーではない。悠人にセックスを迫られたものと、防衛本能が過剰に反応してしまったのだ。 おっぱいは、夕べ、散々揉まれていた。悠人が「何を今更」と思うのも無理はない。だからと言って、恋人たちのようにイチャイチャもできなかった。 由衣は「お姉ちゃんが大好き」と抱きつく悠人が、エスカレートしないように祈った。 お風呂から上がっても、悠人のおちんちんは、いきり立ったままだった。 脱衣室に棒立ちになる悠人。 由衣は、悠人の足下に膝を付き「舐めてあげようか」と見上げた。 「うん、今日もベッドで」 悠人は、嬉しそうに笑顔を向けた。 ベッドでフェラチオしなくて良いように、ここで言い出したのだが。 さっき、おちんちんを丁寧に洗ってやったのも同じ理由からだ。「出しちゃってもいいのよ」とは、悠人を気遣ったからではない。 由衣は、手の中で射精させてしまいたかった。 パジャマを着る時間もなく、由衣はバスタオルを巻いただけで、手を引かれた。悠人は全裸のままで階段を駆け上がっていく。 二人は、由衣の部屋に入った。 「今夜も一緒に寝るの?」 由衣は、胸の前でバスタオルの合わせ目を握った。 「うん、しよう」 悠人が、期待にしているのは間違いない。由衣とセックスができるものと、思いこんでいるようだ。 「わたしは、悠人のお姉ちゃんなのよ」 何とか思い留まって貰おうとしたのだが、 「そんなの関係ないよ。僕はお姉ちゃんが好きなんだ」 由衣は、悠人に二の腕を掴まれ、ベッドに座らされた。バスタオルも取られた。 「イヤッ」 反射的に胸を覆う由衣。悠人が怪訝そうな顔で訊いてきた。 「さっきもそうだ。お姉ちゃんは、ボクにおっぱいを触られるのが、イヤなの?」 笑顔に曇りが見えていた。 「女の子は、誰でもそうなのよ。慣れてないし……」 「ええー。でも、それじゃ……」 曇りから、雨に変わりそうだ。 由衣は、どうしても、この顔には勝てなかった。 「悠人は、お姉ちゃんとしたいのよね」 爆発しそうになる胸を押さえて、由衣は、悠人を見つめた。 「うん。したい」 「お姉ちゃんが大好きなのよね」 「うん。大好きだ」 悠人は、今にも由衣を押し倒しそうな気配だった。おちんちんは凶暴さを益すばかり。自分でも、抑えようがないのだろう。 「わかったわ。それじゃ、お姉ちゃんを縛って」 由衣の言葉に、悠人は面を喰らったようだ。よほど意外だったのだろう。上体を起こして、由衣の視線に合わせた。 ちょっとした間を置いて、悠人が訊いた。 「いいの……?」 「えっ、ええ。ロープはベッドの下にあるわ」 悠人がロープを取り出す。夕べ使った赤い綿ロープが二本、きれいに束ねてあった。 「お姉ちゃんは、縛られるのが好きなの?」 「そうじゃないけど……」 女の子がハダカで両手の自由を奪われるのだ。怖くて、せつなくて、いたたまれない気持ちになる。二度の経験で、由衣は痛いほどわかっていた。 「お姉ちゃんを縛っちゃえば、悠人が好きなことできるでしょ」 悠人の顔が、見る見る内にほころびていく。 「好きなことしていいんだね」 答も待たずに、ロープを解き出す。 由衣が不安な面持ちで、悠人の手つきを見ていることなど、思いも寄らないのだろう。顔中から、笑みが落ちそうだった。 綿ロープを二つ折りに合わせると、 「お姉ちゃん、両手を後ろに回して」 由衣は、まだ、胸を隠していた。手をどければ、心臓の鼓動が悠人の耳にまで届くかもしれないと思った。 片方の手だけが胸を離れると、悠人は、待ち切れないとばかりに手首を掴んだ。腕を捩じ上げるように背中へ持っていく。 由衣の戸惑いを、待ってはくれなかった。 もう片方の手も、胸から引きはがし、背中で両方の手首を重ねた。 後ろ手縛りは三度目だ。かなり慣れて来たのだろう。手際よくロープを巻き付けていく。縄止めまで、大した時間は掛からなかった。 「あうっ」 手首が締める瞬間に、思わず声が漏れた。 悠人は容赦なく、由衣の二の腕から胸へとロープを回した。 手首は、すでに動かない。 それだけでも効果は十分かもしれないが、胸のロープを回されると、由衣は自分がより自由を奪われた気持ちになり、身体の奥深くまで締め付けられる思いがした。 おっぱいの上下に掛かられたロープ。 由衣が教えた縛り方で、今、由衣が縛られている。最後の縄止めまで、ロープに弛みを持たせることもなく、きれいに縛り上げられた。 もう、両手を使うことができない。 (縛られたわ。これで、悠人の為すがままなのね) 由衣は、喉の奥に溜まっていた息を吐いた。胸が軽くなったのも束の間だった。また、すぐに別の空気が入り込み、重く凍り付いて離れない。 「どう、お姉ちゃん。これでいいかなあ」 悠人の明るい声は、由衣の気持ちとかけ離れていた。 「お姉ちゃんは……悠人のモノ……」 消え入りそうな声だった。 「うん。何をしてもいいんでしょ」 「そ、そうよ。でも、ひどいこと、しないでね」 由衣は、肩でおっぱいを庇うようにして、悠人を探した。悠人は、まだ、由衣の背後にいた。 「どうしようかなあ」 悠人は冗談のつもりだったのだろうが、由衣は、ひどくイジワルをされているような気持ちになった。 「お願い……」 由衣が言い終わらない内だった。 「ちょっと実験していい?」 「あっ、何を」 悠人は、ベッドに腰掛けていた由衣を、仰向けになるように引っ張った。両手の自由が利かない由衣は、身体を支えることもできず、布団の上に倒れるしかなかった。 「やっぱり何もできないね」 由衣は、身体を真っ直ぐに伸ばされ、裸身を晒した。悠人がベッドの脇に立ち、見下ろしている。頭からつま先まで、視線を何度も往復させているようだ。 「あーん、見ないで」 由衣は、顔を背けるくらいしかできない。 「ダメだよ。夕べはお姉ちゃんのオマンコにばかり気を取られていたから、今日はおっぱいを良く見せて貰うんだ」 悠人は、何を言っても、由衣を辱めた。 「お姉ちゃんのハダカなんて、もう散々見てるじゃない」 確かにそうなのだが、悠人は、初めて見るようなまなざしを向けて来る。由衣は、恥ずかしさでいっぱいだった。 「何度見ても、すっごくきれいだよ。今日も、乳首が大きくなってるね」 悠人にとっては、素直な発見なのだろう。 「そんなこと言わないで、あっ、ひぃいいーー」 悠人の指先が、前触れもなく、由衣の下腹部の茂みをなぞった。 「お姉ちゃんのヘアーって、薄くて、こんなに柔らかいんだ」 「イヤよ、悠人。いじめないで」 由衣は、寝返りを打とうとしたが、簡単に引き戻されてしまう。 悠人の裸身が、覆い被って来た。堅い肉の塊が下腹部に押し付けられる。由衣は腰を引いて逃げることもできない。 「もう、やめて。悠人」 「まだ何もしてないじゃないか。お姉ちゃんは、ボクのモノなんだから」 悠人の右手が、由衣のおっぱいを包んだ。 「はひぃー」 夕べのように洗っているわけではない。稚拙ではあるが、明らかに愛撫だ。下乳からそっと持ち上げるように、指先を動かす。 おっぱいがいびつに歪み、経験したことのない感覚が、肌に刻み込まれる。 お風呂では、悲鳴をあげた由衣だが、こうなってはどうしようもない。おっぱいをいじられる恥ずかしさに耐えるしかなかった。 抵抗はできない。どうして「縛って」なんて言ってしまったのかしら。 由衣は後悔していた。 そんなことはお構いなく、悠人の指が乳首を捉えた。 「ひぃいい……お願い、悠人。やさしくして」 返事は帰って来ない。悠人は、指先でコリコリと乳首をいじっている。背中まで伝わるむず痒いような感覚に、由衣は上体を反らした。 馬乗りになった悠人は、もう片方のおっぱいにも手を伸ばす。遠慮がちだった手つきも大胆になって来た。 粘土でもこねるように、乳肉を揉みしだく。 「あっうぅぅぅ」 由衣は、下唇を噛んだ。 痒いような、くすぐったいような、それでいて身体の芯まで降りて往く感覚。決して不快なものではないにしろ、その正体はわからない。 (これが性的な快感なの?) 何よりも、その感覚を与えているのが、弟の悠人であることが、由衣の理性をおかしくさせている。 由衣は、かわいい弟の好奇心を、満たしてあげるつもりだった。自分が感じてしまうとは、考えてもみなかった。 破瓜の痛み――やがて訪れた、めくるめくような快感に、意識を飛ばした。 このままでは、夕べの出来事が再現されてしまう。 (それでいいの? 悠人は弟なのに……) 自ら望んで、両手の自由を奪われたというのに、由衣は、まだ、心の中の抵抗を続けていた。 そのわずかな抗いも、悠人の指先から与えられる刺激に流されそうだ。 「はあぅん……ああ、ダメっ」 悠人が、胸の谷間に顔を埋めた。母親に甘えるように頬を擦り付けていたが、すぐに生ぬるい滑りに変わった。 (舐めているんだ) 谷間でグルグルと遊び回っていた舌先は、左側の下乳から乳首に向かって、ゆっくりと移動していく。 まるで由衣の背徳感を、打ち消していくようだ。 普段、ブラジャーのカップに守られている肌は、待ちこがれていたように、舌先の感触を吸収していく。 (感じちゃダメ!) そう思う側から、もう無理だと告げる声が聞こえてくる。 「ああん、あっ、い、いいぃ……」 堪らずに漏れる息が、知らない内に喘ぎ声となっていく。 悠人にも、もうわかっているのだろう。由衣が、感じ始めている事実を。声を上げる度に、指の動きが活発になっていくようだ。 「色っぽい声を出すんだね。驚いたよ」 頬が燃え上がるように熱い。羞恥には限界というものがないのだろうか。 「い、言わないで……ああっ」 悠人の唇が、いよいよ、おっぱいの先端を捉えた。 ぎこちないキスが、堅く尖った乳首を襲う。男が女を愛撫するというよりは、赤ちゃんが母親のおっぱいをねだる様に近かったのかもしれない。 今、由衣の性感帯は、ここに集まっていた。 甘い痺れを身体の奥へと伝えながら、悠人の口の中で、さらに大きく膨らんだように思える。自分の乳首が、こんなになるなんて知らなかった。 「あうっ、うううう……」 由衣は、喘ぎをかみ殺した。これ以上、恥ずかしい声を悠人に聞かせるわけにはいかない。奥歯を噛み合わせて、じっと堪えた。 由衣を困らせているものは、もう一つあった。 乳首への甘美な刺激は、身体の奥深くを伝い、下腹部まで届いていた。由衣の花芯は、羞恥の潤いに満ちていたのだ。 全裸の身をロープで縛られ、おっぱいをなで回されて女の子を燃え立たせる。 由衣にとって、それは変態以外の何物でもなかった。頭を振って否定しようにも、全身に広がった甘い痺れを、消し去ることはできない。 「ああーん。お姉ちゃん……お、おかしくなっちゃう」 由衣は、甘えた声で、悠人に問いかけた。 「感じているんだね。お姉ちゃん、いい。すごくかわいいよ」 悠人が、急に大人びて見えた。 当たり前かもしれない。さっきからずっと、主導権は、悠人にしかないのだから。 「もっと、気持ちよくしてあげるね」 悠人の舌は、乳首を指先に明け渡すと、腹部をゆっくりと下りていく。 由衣の身体は、どこもかしこも性感帯になっていた。悠人の指に撫でられた肌で感じ、悠人の舌に舐められた場所で快感の根を下ろす。 唾液を塗りつけながら、悠人の舌がお臍の上を通過した。 「お、お姉ちゃんに、何をするつもりなの?」 もちろん、悠人の意図はわかっていた。由衣が認められないだけなのだ。 羞恥の源泉から、止めどなくあふれ出す欲情の証。 濡れそぼる花芯。 悠人を受け入れる準備はできていた。 その事実が伝われば、もう姉ではなくなってしまう。弟の愛撫に、本性をさらけ出した淫らな女。イヤらしい由衣。 「お願い。お姉ちゃんを助けて」 由衣の叫びも、悠人には届かない。恥丘の茂みに顔を埋めていた。まるで、匂いを嗅いでいるようだ。 「足を広げて、お姉ちゃんのアソコ、見せてよ」 わざわざ言葉にしなくて良いのにと、由衣は拗ねたような仕草をして見せた。 悠人には、伝わらなかった。 ただ「早くして」という顔で、由衣を見つめる。 「ダメよ。お姉ちゃんの……ひどいことになっているの。ああ、言わせないで」 自爆だった。由衣は、自らの発した言葉に、耳たぶまで熱くなる。 股間の疼きが、押さえようもなかった。両手を縛られてなかったら、悠人の前で、肉の芽を慰めていたかもしれない。 由衣は、膝頭を閉じ、太ももをモジモジと擦り合わせた。 「どんなになってたって、お姉ちゃんのアソコは、あんなにきれいだったじゃないか」 悠人は真剣なのだろう。それだけに恥ずかしさが募る。由衣は、悠人の目を見ることができなかった。 「だって、今の……見たら、悠人はお姉ちゃんを嫌いになるわ」 「そんなことないよ。ボクはマジで、お姉ちゃんが大好きなんだから」 即答だった。 思わずドキッとするような「好き」だった。 由衣は、胸に楔を打たれた気がした。 「ホントに? お姉ちゃんの恥ずかしいところ見ても、嫌いにならない?」 怖々と顔を向ける。悠人の真顔が、正面にあった。 「約束する。お姉ちゃんを嫌いになったりしない」 悠人の、どこまでも透き通った目の中に、吸い込まれていきそうだ。 こうなると由衣は操り人形だ。 悠人の望むままに足を開き、ヌレヌレになった花芯を晒していく。胸を締め付けられる恥ずかしさも、役には立たなかった。 開きかけた太ももに満足できなかったのか、悠人は、由衣の膝を掴んで押し広げた。 「ひゃあ」と声は出したものの、覚悟のできていた由衣は、もはや、抵抗しようとはしなかった。 「ゆ、悠人。見てるの? お姉ちゃんの……見てるのよね」 股の間に、顔を近づける悠人。 「ホントだ。オシッコしたみたいにビショビショだね」 「えっ! なに? あっ、あぅ、ああああーー」 羞恥を煽る言葉だけで、由衣は軽くイキそうになる。秘孔の奥から、新たな蜜が湧き上がり、花芯に溢れ出した。 「すごいね。また出てきた」 ようやく落ち着いた由衣に、悠人は追い打ちをかけるようだ。 「ゴメンね、悠人。お姉ちゃん、こんなにイヤらしくって」 「そんなことないよ。だって、ボクのおちんちんを入れる準備でしょう。もう、いつでもオーケーみたいだ」 悠人が腰を上げた。視界に、いきり立った肉の塊が入る。欲望を剥き出しにした様相に、由衣の花芯が悲鳴をあげた。 「ああっ、ダメよ。あっ、ダメっ……」 言葉では拒絶しているが、こうなることは縛られた時からわかっていた。 血を分けた弟との禁断のセックス。 由衣は、言い訳が欲しかった。決して自分から求めたものではない。後ろ手に縛られていて、抵抗できなかったのだから仕方がないと。 今がまさにその時だった。 悠人の性欲が股間の肉塊に凝縮され、由衣の中に侵入しようと迫っていた。 「お姉ちゃん……いれるよ」 二度目だと言うのに、悠人の声が震えていた。 いや、二度目だからだろうか。夕べは、そんな余裕もなかったのかもしれない。悠人を可愛く思う由衣だが、背徳の思いは葛藤となって、尚も苦しめた。 「ダメっ。ああ……ダメなのにぃ」 今の悠人には、何を言っても「イエス」にしか聞こえないのだろう。構うことなく、肉塊の先端を花芯に押し付けて来る。 自前の潤滑油に満たされた秘孔は、全く拒む様子を見せなかった。 「はあっ、うっうううう……」 由衣の迷いとは裏腹に、凶悪な侵入者を、あまりにもすんなりと受け入れてしまう。これではまるで、由衣がウソを吐いて来たようだ。 「入ってる。お姉ちゃんの中にボクのおちんちんが、入っているんだよね」 悠人が腰を押し付ける。 処女膜は、もうない。秘孔の最深部までノーストップだった。 「入っちゃった……あぅ、ああ、またぁ……」 悠人に征服されてしまった感触が、ジワジワと秘孔の奥から涌いて来る。痛みは、もう、感じなかった。 「昨日より、熱くなっているよ」 「ばか、もう……お姉ちゃん、知らない」 デリカシーがないのだからと思ってみても、相手が弟では仕方がないのか。 悠人が、身体を被せて来た。 男女の営みなら熱く抱擁を交わすところだろうが、由衣は後ろ手に縛られた身だ。悠人にロープごと抱き締められているしかない。 悠人は、腰を使うこともなく、由衣の内部を愉しんでいるようだ。 暫しの間、顔を由衣の肩に埋めていた悠人だか、上体を起こして由衣を見下ろす。至近距離で、目と目が合った。 「ボク、お姉ちゃんを愛してる」 力強い語意と、真剣なまなざしで射抜かれ、由衣の動きがフリーズする。 (この子、何て言ったの……?) 由衣は頭を絞った。「大好き」というセリフなら、今までに何度も聞いて来た。「愛してる」と言われた記憶はない。 言い間違えただけ? それとも…… 由衣の胸が、異様に高鳴った。セックスに対する高揚ではない。何か、別のものだ。それは、由衣がずっと前から求めていたもののように思えてならなかった。 悠人が、ゆっくりと唇を近づけて来た。 (キスされるの?) 由衣は、唇が触れる寸前に、さりげない動作で首を捻った。 咄嗟の行動だった。 はっきりとした理由があったわけではない。でも…… (避けちゃった) 悠人の唇が頬に触れていた。 由衣は、横目で悠人の表情を追う。近すぎて見えないが、特に変わった様子はない。悠人のキスを避けたのに、気にしてはいないようだ。 悠人の唇は、首筋へと下りていった。 ぎこちないキスの合間に、舌を出して唾液を塗りつける。耳たぶの下を舐められた時には、くすぐったいような感触が背筋まで震わせた。 「ふぁあーん、あぅ……あっ、ああっ……」 悠人のシンボルは、由衣の中に収まったままだ。時折、狭い空間で跳ね上がり、自らの存在を主張していた。 唇が耳の裏側にまで達した。 一舐めされただけで、肩で快感を表してしまう。こんなところにも性感帯があったのかと、由衣にとっても、自分の身体の再発見だった。 いつの間にか、片手がおっぱいに戻っていた。 さっきまで遠慮がちだった手つきとは大違いだ。どこで自信を付けたのか、掌を大きく広げて、由衣のおっぱいを覆い尽くす。 揉み方も豪快になっていた。 膨らみの麓から乳肉を掴み上げると、乳首が円を描くようにグルグルを回し続けた。 おちんちんが、掌が、唇が、由衣の身体の至る所を弄ぶ。 由衣は、抵抗する術を奪われた緊縛の身。 悠人の思うがままに扱われているのだと、我が身の有り様を思い知らされる。 (また、悠人のモノになっちゃった) 屈辱的な姿でしかないのに、由衣の心には、幸福が入り込んで来るようだ。 背徳の葛藤も、今はどこかに押しやられ、心の底から、より大きな幸福を得ようともがいている。 ――ボク、お姉ちゃんを愛してる 悠人の言葉が甦る。 (そうよ、悠人。もっと愛して) 貪欲な衝動を、どうやって伝えたら良いのかわからない。由衣は、ただ、本能に任せた。肉塊で埋め尽くされた下腹部に、力を込めたのだ。 呼応するように、悠人は腰を使い出した。 単調ながら、力強さは昨日以上だ。由衣の肌を舐め回し、肉塊を、より頑強な凶器に変貌させていた。 「すごい。すごいよ。お姉ちゃんが締め付けて来る」 「そんな……言っちゃダメっ。あうっ」 上体を起こした悠人は、腰を振り続けながらも、両手で由衣のおっぱいを揉みしだく。こちらも、乱暴なだけの愛撫へと変わっていた。 「イヤっ、ああーん、悠人、ダメっ。お、お姉ちゃん、おかしくなっちゃうぅぅぅ」 由衣の「ダメっ」は、全く「ダメっ」になっていなかった。 むしろ、悠人の動きを活発化させているようだ。 二人の股間が激しくぶつかり合い、由衣の秘孔から溢れた愛液を、ビチャビチャと跳ね飛ばしている。 悠人の指先でおっぱいを愛撫されてから、ずっと蓄えて来た性感が、いよいよ許容量の限界に近づいた。 遠のきそうになる意識を、かろうじて保っていた。 「お姉ちゃん、もうダメっ。ああ、ダメだったらあ」 ウソも余裕はなかった。悠人の稚拙な行為が前戯と呼べるものなら、役目は十分に果たしていたことになる。 「まだだよ、お姉ちゃん。ボクはまだ……」 悠人の息も乱れていた。 全身から汗を飛ばし、由衣の子宮を突き上げる。滑りを帯びた怪物が、由衣の身体を浸食する。 後どれだけ正気でいられるか…… 「まだなの、悠人。ああっ、ああああああーー」 由衣は、大きく頭を振った。 悠人のシンボルが、粘膜の中を行き来するより速く、激しく、スピードメーターがレッドゾーンに入ったことを知らせるように。 「感じているんだね。いいの? イクの? ボクも、ううっ……」 悠人にも変化が見えた。ピストン運動が少しだけ弱まる。上り詰める寸前までいっていた由衣から、熱気が引いていく気がした。 「ダ、ダメっ、止めちゃ……、ああ、もっと……」 由衣は、自分から腰を振っていた。 肉塊に喝を入れようと、下腹部に力を込める。両手を縛られていなかったら、悠人のお尻を自分に押し付けていたかもしれない。 「ははっ、お姉ちゃんは、どっちにしても、ダメなんだね」 一休みしたせいか、悠人は余裕を取り戻していた。 「ひやっあ……も、もう、ヤダっ」 由衣は、こめかみに血が上り詰めた。おかしくなっちゃうと言いながら、自分から悠人を求めてしまうなんて。 「それじゃ、いくよ」 悠人が、再び激しく、腰を使い出した。 「ダメっ。あっ、違う。い、いやあー、ああっ、ダメぇーーー」 もう、何を言っているのかわからない。元気いっぱいの悠人が、力の限り突きまくる。後先を考えない若さが暴走していた。 由衣の腰が、ベッドの上で浮き上がったまま、降りて来る間もない。 秘孔の奥から、蜜を絞り取るように、肉塊の出し入れが続く。由衣は、一気に臨界点まで持って行かれた。 「ああああ……、そんなっ、イヤっ、いっ、イクっ、イクっ、イっちゃうよおー」 由衣は、不自由な姿態でもがく。 悠人が突き上げる度に、意識が遠くへ飛ばされていく。取り戻せない場所まで、行ってしまいそうだった。 「お姉ちゃん、ボクも……もう、出ちゃう」 悠人が、切なげな声を漏らす。 「来て、悠人。あああっ、一緒に……ああ、悠人……」 「お姉ちゃん、ボク……あっ、お姉ちゃん!」 悠人が、絶叫と共に、一際激しく突き上げた。 股間に与えられた刺激が快感に生まれ変わり、全身を駆けめぐる。身体の至るところに性的な感動を残して、それらは今、由衣の額に集まっていた。 「ああああああ……、イヤっ、あん、も、もうダメっ、悠人……ああ、ダメぇ、イクっ、イクっ、ああああ、いいっ、イっちゃううううーーー」 秘孔の奥に、熱い迸りを感じるのと同時だった。 由衣の意識が、宙に向かって弾けた。 真っ白な闇に包まれ、由衣の身体から力が抜けていく。悠人も脱力して、覆い被さる。肌の温もりだけが、意識に昇った。 悠人の頭が、由衣の肩に載っていた。 ロープに縛られた両手が、今だけは恨めしかった。悠人を抱き締めてやりたいと、由衣は思った。 実の弟とのセックス。これで二度目だ。 もう抗えないかもしれない。 由衣は、幸せを感じていた。こんなに幸せなら、血の繋がりなんて、どうでもいいのではないか。そんな気さえしてくる。 由衣は、危険な予感を否定できなかった。 「お姉ちゃん、良かったよ。ボク、すっごく良かった」 悠人の息が、ようやく整い掛けていた。 「バカ。悠人のバカ……」 由衣は、拗ねた声で応えた。二人の距離が、一段と近くなったように思える。 悠人のおちんちんは、まだ、由衣の中にあった。 「お姉ちゃんは、良くなかったの?」 悠人が頭を持ち上げた。 「そんなこと、女の子に、聞くものじゃないの」 「ふーん、やっぱり良かったんだ」 汗だくになった悠人の顔は、無邪気な微笑みに満ちていた。悪意は全くないのだろう。悠人は、他の女の子とセックスしても、同じことを聞くのだろうか。 由衣の胸がキュンと痛んだ。 (えっ、何? 今の……) 考えている間はなかった。 悠人が顔を近づけて来る。キスするつもりなのだ。 唇を避ける由衣。 「お姉ちゃん、ボクとキスするの、イヤなの?」 悠人の顔が曇る。 何か言わなくてはと、由衣は焦った。 「お姉ちゃんは、悠人のお姉ちゃんなんだよ。何をしてもいいけど、キスはカノジョとしてね」 (私……何を言ってるんだろう) こんなこと言うつもりじゃなかったのにと、由衣は悔やんだ。 「お姉ちゃんが、カノジョでもいいんだけどなあ」 悠人は、何でもないことのように言うが、由衣の胸を騒がすには十分だった。 「でも、いいや。ボクのおちんちん、また、元気になっちゃったし」 由衣の秘孔で、ムクっと起きあがるモノを感じた。 「ひゃあー、ウソっ。まさか……!」 「キス以外なら、何をしてもいいんでしょ。ねえ、もう一回しよう」 悠人の微笑みが悪魔に見えた。ついさっき、意識がなくなるほどの快感に酔わされたばかりだ。今日は、もう、終りだと思っていた。 「ムリ、ムリ。お姉ちゃん、死んじゃうよお」 「ダーメ。許さない。お姉ちゃんはボクのモノなんだから」 悠人は、第二ラウンドを挑んで来た。 少し腰を動かしただけで、由衣は、すぐに絶頂近くまで上り詰めていく。悠人が満足するまで、何度でもイカされてしまうのだろう。 全裸で後ろ手に縛らせてしまったことを、由衣は、本当の意味で後悔した。 (つづく)
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